不動態化処理の特徴

  • クロムを13%以上含む鋼をステンレス鋼と称するが、ステンレスとは錆なしの意味で、そのすぐれた耐食性は表面に形成した不動態皮膜の存在によるものです。
  • ステンレス鋼の不動態皮膜は数Åから数10Åの極めて薄い酸化皮膜であって、電子回折ではハローパターンを示し、非晶質の酸化物です。
1.不動態
  • 金属が常態よりも貴金属性を帯びた状態にあることを言います。例えば、鉄は希硝酸には溶けるが、濃硝酸には溶けず、また一度濃硝酸に浸してこの状態にした鉄は遊離酸のない硫酸銅溶液に浸しても銅の置換析出を起こさない。水化(または水和)酸化物の目に見えない導膜が表面を覆った状態であり、Fe、Ni、Co、Cr、Ti、Nb、Ta、Alなど、およびこれらの合金でこの状態になるし、液中に十分な酸化剤があれば浸漬しただけで不動態化する(自己不動態)。耐食合金は自己不動態を起こす材料が多い。不動態化した金属には酸化物皮膜を除いてから出ないと、どのようなめっきでも密着しません。
2.不動態化
  • 金属表面を不動態化すること。方法には化学的方法と電気化学的方法があり、化学的方法では硝酸などの酸化性の酸に金属を浸漬します。電気化学的方法では金属を溶液中で陰極にして、電位がフラーデ電位以上になるように電流を流す。このときの溶液は化学的方法と同じく酸化性の酸が適しています。また、めっきでの陰極側では陽極電流密度が高すぎたり液温が低下したときなどに、めっき途中で不動態化して金属が補給できなくなることがりますが、このときは陰極面積を増やしたり、電流密度を下げたり、温度を上げるなどの処置をします。
3.不動態皮膜
  • フラーデ電位より貴な電位で金属上に生じる酸化物、水化(水和)酸化物の薄膜をいう。Fe‐Cr合金の場合、その厚さは厚くても6nm(ナノメートル)程度であり、電位が貴になるほど厚くなり、Cr量が多くなるほど薄くなることが実測されている。
引用、参考文献:
『日刊工業新聞社刊 (社)表面技術協会編 表面技術便覧』、
『日本鍍金材料協同組合発行 藤ヶ谷雄章編 めっき技術ガイド改訂版』、『日刊工
業新聞社刊 丸山清著 初級めっき』

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